多くの植物が休眠状態に入る冬に、
可憐なお花を咲かせてくれるのが「クリスマスローズ」ですよね。
クリスマスローズは比較的手のかからないお花なので、
これからガーデニングを始めるんだったらおすすめですよ。
じゃあ実際に育てるとなった場合にどこに植えたら良いのか、お手入れはどうすれば
良いのかなどクリスマスローズの育て方について分かりやすく解説しますね。
クリスマスローズを植える場所
クリスマスローズはヨーロッパの地中海沿岸辺り、
日本で言うと東北や北海道ぐらいの緯度の場所を原産地としています。
そのため高温多湿には弱く、直射日光が当たらないけど明るめの半日陰が
クリスマスローズを植えるのに最適の場所となります。
もう少し具体的に言うと、午前中や夕方は日なただけど太陽の位置が高くなる
お昼間には樹木や建物の陰になるような場所です。
お庭は建物から見て南にあることが多いので、背の高い樹木があるならともかく、
そうでないと建物や塀の近くなどお庭の端っこに植えることが多くなるかもしれない
ですね。
ただ日当たりが良くなさ過ぎるのもダメで、日の当たる時間が短すぎると
クリスマスローズ自体が弱くなりお花や芽の付き方が悪くなっちゃいます。
ですから完全な日陰じゃなくて、時間帯によって日が当たったり当たらなかったり
するような場所でないといけないわけです。
クリスマスローズを植える場所は夏場に探す
お庭にクリスマスローズを植えようと考えているんだったら、
夏場の内に植えるのに適した場所を探しておくと良いですよ。
クリスマスローズは種からでも育てられますが、
種からだとお花を咲かせるまでに2~3年はかかってしまいます。
熟練ガーデナーなら3年かけてクリスマスローズを育てても良いんですが、
ガーデニング初心者だと早くお花が楽しめるように苗から育てるのがおすすめですよ。
クリスマスローズのお花がすでに咲いている開花株や数か月後にお花を咲かせる
予定の開花見込み株は、12月から3月頃にかけて出回ります。
実際に苗を植える時期と夏では太陽の位置が全然違いますから、苗を植えた時には
直射日光が当たらない場所でも夏になると直射日光が当たる可能性は十分にあります。
なので苗が出回る前の夏の段階で、クリスマスローズを植えるのに適した朝や
夕方には日なたになりお昼間には樹木や建物の陰になるような場所を探しておくと
良いってわけなんですね。
鉢植えなら日当たりの調整がしやすい
お庭に地植えしたクリスマスローズは簡単には移動させられないので、
植える場所が重要となります。
しかし鉢植えのクリスマスローズであれば移動させることができますから、
地植えよりも日当たりの調整がしやすいんですね。
夏場の午前中には日なたに出しておき、太陽の位置が高くなってきたら建物などの
陰に移し、そして夕方にはまた日なたに出すというようにすれば良いわけです。
もし自宅のお庭にクリスマスローズを植えるのに適した場所が無いんだったら、
鉢植えにして時期や太陽の位置によって置き場所を変えるようにしましょう。
クリスマスローズの鉢を置き方にも注意
日陰に移動させた際のクリスマスローズの鉢の置き方にも注意が必要で、
軒下やベランダなどコンクリートで舗装された場所に直置きしてはいけません。
いくら日陰で直射日光が当たらなくても、コンクリートに直置きすると輻射熱によって
クリスマスローズの鉢が高温に晒されることになります。
そのためクリスマスローズ自体が場合によっては枯れてしまうことにもなるので、
コンクリートに直置きするのでは日陰に移動させた意味が無いんですね。
なので軒下やベランダなどコンクリートで舗装された日陰に移動させる場合は、
スノコなどを利用してクリスマスローズの鉢をコンクリートに直置きしないようにしましょう。
地植えでは日除けを立てて日当たりを調節する
クリスマスローズの苗を1日中直射日光が当たるような場所に植えてしまった場合には、
日除けを立てて日当たりを調節してあげると良いですよ。
夏場のお昼間に昔ながらのヨシズや遮光ネットで日陰を作ってあげれば、
直射日光が当たるのを防いでクリスマスローズを守ることができます。
ただしクリスマスローズを植える場所はあくまで半日陰ですから、1日中ヨシズや
遮光ネットを立てているのはかえってクリスマスローズには悪影響となります。
ですからヨシズや遮光ネットで日陰を作るのは太陽の位置が高くなるお昼間だけ、朝や
夕方の太陽の位置が低い時間帯はヨシズや遮光ネットは外さないといけないんですね。
クリスマスローズを育てるのに適した土
クリスマスローズを地植えする場合はもちろん、鉢植えでも植え替えが必要となるので、
クリスマスローズにはどういった土が適しているのかも知っておいた方が良いですね。
クリスマスローズは中性もしくは弱アルカリ性の土壌で育ちやすくなっています。
日本では高度成長期の大気汚染などが原因で酸性に傾いた雨が降りますから、
土壌もどちらかと言うと酸性に傾いていることが多いです。
なのでお庭の土壌も酸性に傾いてる可能性が高く、
そのままクリスマスローズを地植えすると生育が悪くなってしまうかもしれません。
そこでクリスマスローズをお庭に地植えする場合や植え替えでお庭の土を使う場合には、
苦土石灰などを混ぜて土壌を中性から弱アルカリ性にしてあげると良いんですね。
クリスマスローズ用の土を使うのが一番確実
日本では酸性に傾いた雨が降りますが、
お庭の土壌については必ずしも酸性に傾いているとは言えません。
酸性に傾いていない土壌に苦土石灰などを混ぜるとアルカリ性が強くなって、
かえってクリスマスローズの生育を悪くしてしまうかもしれません。
また酸性に傾いていて苦土石灰などで酸度を調整するにしても、
ph測定器などが無いと土壌をちょうど良い具合に中性から弱アルカリ性に
持って行くのも難しいんですよね。
それでもお庭に地植えする場合は苦土石灰などで酸度を調整するしかないですが、
鉢植えの場合はクリスマスローズ用の土を使うと手っ取り早いですよ。
ホームセンターや園芸店には、
クリスマスローズを育てるのに適した土が販売されています。
それを買ってきて苗を植え替えるのに使えば、
土壌の酸度を気にしなくても良いわけです。
ちなみにクリスマスローズ用の土は5Lで700~1,000円程度なので、
自分で酸度を調整する手間を考えると土を買った方がお得かもしれないですね。
クリスマスローズを育てるには水はけの良さも重要
クリスマスローズは多湿をあまり好みませんから、
クリスマスローズを育てる土には水はけの良さも求められます。
クリスマスローズ用の土を買ってきて使うなら気にしなくても良いですが、
お庭に地植えしたり苗の植え替えでお庭の土を使う場合は水はけの良し悪しにも
注意しましょう。
鉢に土を入れてたっぷりと水をかけたのに、鉢の底穴から水がなかなか出てこない
ような土だと水はけが悪すぎてクリスマスローズを育てるのには向いていません。
お庭の土が多少水はけが悪いぐらいなら、
通常よりも数十cm深めに掘り返して土をほぐしてあげれば大丈夫です。
そもそもお庭の土が粘土質でほぐしても水はけが良くならないんだったら、
クリスマスローズ用の土を買ってきて鉢植えにしましょう。
クリスマスローズへの水やり
クリスマスローズを植えるのに水はけの良い土を使うので土が乾きやすく、
クリスマスローズを育てるにはお水のあげかたも重要なポイントとなります。
そもそもクリスマスローズは多湿を好まないので、
お水のあげすぎで土が常に湿っていると根腐れを起こしてしまいます。
しかし土が乾き過ぎると根から水分を吸収できなくなり、
クリスマスローズの生育が悪くなります。
なので土の表面は乾いているけど土の中までは乾ききっていない状態が、
クリスマスローズにお水をあげるタイミングになるんですね。
夏は夕方、冬は朝
クリスマスローズにお水をあげるのは土の表面が乾いたタイミングですが、夏場は夕方、
冬場は午前中にお水をあげるようにした方が良いですよ。
クリスマスローズにお水をあげる際にはたっぷりな量をあげるため、
夏場の朝にお水をあげるとお昼間には土中の水分が高温になってしまいます。
反対に冬場は夕方にお水をあげることで、
夜間の冷え込みによって土中の水分が凍結してしまうんですね。
土中の水分が高温になっても凍結してもクリスマスローズの根を傷めてしまうことに
なるので、夏場はこれから気温が下がる夕方、冬場はこれから気温が上がる午前中に
お水をあげた方が良いってわけです。
地植えのクリスマスローズに水やりは不要!?
お庭にクリスマスローズを地植えするんだったら、
夏場は長期間雨が降らない場合を除いてはお水をあげなくても大丈夫です。
クリスマスローズは冬にお花を咲かせるので、
夏場はお花が咲き終わって次の開花に向けての準備に入るまでの休眠期間となるので、
そもそもお水をそれほど必要としないんですね。
さらに地植えだと適度に雨が降って地面を濡らしてくれるので、
クリスマスローズの根が水分を吸収できなくなるほど土中が乾く心配もありません。
またクリスマスローズは多年草ですから、お花が咲き終わっても葉は残り、
その残った葉が日除けとなって土の水分蒸散を防いでくれます。
なので夏場にクリスマスローズにお水をたっぷりあげると、
かえって水分過多になって根腐れを起こす原因となってしまいます。
さすがに数日間雨が降らずに土の表面がカラカラになるようなら、
クリスマスローズにたっぷりとお水をあげてください。
しかし梅雨が明けても数日おきに雨が降るという状況なんだったら、
特にクリスマスローズにお水をあげる必要はありませんよ。
クリスマスローズへの水やりでは花や葉を濡らさないように
植物にお水をあげる際には、普通はお花や葉にお水がかかるようにしますよね。
しかしクリスマスローズの水やりでは、
お花やに葉にお水がかからないようにした方が良いですよ。
どちらかと言うと乾燥を好むクリスマスローズは湿気に弱いですから、
お花や葉、茎にお水をかけると傷んでしまいます。
ですからクリスマスローズをお水をあげる時は、
株元を中心に土を湿らせるようにしてあげると良いんですね。
肥料は秋から春にかけて2~3回
クリスマスローズをお庭に地植えしているんだったら、
肥料は秋から春にかけて3回与えましょう。
休眠期間が終わって次の開花に向けての生育期間に入る10月から11月初め頃に、
1回目の肥料を与えます。
そしてお花を咲かせる12月から2月に2回目、
さらにお花が咲き終わる4月にお礼肥として3回目といった具合です。
お花の咲く時期は特に栄養分を必要とするので、4月のお礼肥を省いて、
12月と2月に1回ずつ肥料を与えても良いですよ。
また生育期間に入る10月からお花が咲き終わる4月までの間、
薄めた液体肥料をお水代わりに週1回あげるという方法もあります。
クリスマスローズに与える肥料については、即効性のあるものではなく、
ゆっくりと効果が現れる緩効性のものを使ってくださいね。
鉢植えのクリスマスローズには適宜肥料を与える
地植えのクリスマスローズには秋から春にかけて3回肥料を与えるだけで良いですが、
鉢植えの場合は3回プラス適宜肥料を与えるようにしましょう。
地植えの場合は多少雨が降っても肥料は土壌から流れ出ていかないので、
必要以上に肥料を与えなくても大丈夫です。
しかし鉢植えの場合は雨や水やりによって土壌から肥料の成分がお水とともに
鉢の外へと流れ出てしまいます。
そのため3回の肥料だけでは足りなくて、
クリスマスローズが栄養不足になってしまう恐れがあります。
なのでクリスマスローズを鉢植えで育てる場合には、クリスマスローズに栄養不足の
兆候が見え始めたら適宜肥料を追加してあげないといけないんですね。
クリスマスローズに現れる栄養不足の兆候とは
クリスマスローズは
・窒素
・カリウム
・マグネシウム
といった栄養が不足すると、葉の全体もしくは一部が黄色くなります。
ですから、特に鉢植えでクリスマスローズを育てている場合には、
葉の色をこまめにチェックして肥料が必要かどうかを判断しましょう。
ただし栄養過多になると葉だけが生長して花付きが悪くなってしまいますし、
クリスマスローズ自体も病気に弱くなってしまいます。
なので、あくまで葉の全体もしくは一部が黄色くなるという栄養不足の兆候が現れたら
追肥するようにして、兆候が現れていないなら肥料は不要です。
クリスマスローズの植え替え
クリスマスローズは比較的生長の早いお花ではあるんですが、
地植えでも鉢植えでもそんなに植え替えが必要になることはありません。
鉢植えの場合は
・鉢の大きさに対してクリスマスローズのお花や葉が大きい
・鉢の底から根が出てきてしまっている
・ちゃんとお世話をしているのに下葉が黄色く変色する
などという兆候が見えたら、サイズの大きい鉢に植え替えてあげる必要があります。
しかし最初からある程度余裕のあるサイズの鉢を使っていると、
植え替えのサインが出るまでに5~6年かかるんですね。
地植えの場合は、複数のクリスマスローズの間が詰まりすぎている場合を除いては、
ほとんど植え替える必要は無いですね。
ちなみにクリスマスローズは葉が少し大きめですから、複数のクリスマスローズを
地植えする場合は50~60cmほど間隔を開けておきましょう。
クリスマスローズの植え替えに適した時期
クリスマスローズを植え替えるのに適している時期は、
お花が咲く前とお花が咲き終わる頃です。
夏の休眠期間が終わって生育期間に入る10月から12月と、お花が完全に咲き終わる
少し前の3月頃がクリスマスローズの植え替えに適した時期となりますね。
植え替えの際には、根を軽くほぐしてあらかた根に付いた土を落し、
さらにお水を入れたバケツなどに浸けて根をキレイに洗います。
黒く変色してしまっている根は取り除いたら、
新しい土と元肥を入れた鉢にクリスマスローズを植え替えてあげましょう。
生育期間である10月から12月頃に植え替える場合は、植え替え後に再生するので、
根の先をカットしても良いですよ。
クリスマスローズが生長しすぎて鉢の中でぐるぐると根を巻いてしまっている場合は、
根を5分の1ほどカットした方が植え替え後の根付きが良くなったりします。
ただしこれから休眠期間に入る3月頃に植え替えを行う場合は、
植え替え後に再生しないかもしれないので、根はカットせずにほぐすだけにしてください。
クリスマスローズの花は枯れる前に摘むべし
せっかくキレイに咲いたクリスマスローズのお花を長く楽しみたい気持ちは分かりますが、
できれば枯れる前にお花は摘んでおきましょう。
クリスマスローズはお花が枯れると種を作るんですが、
その種を作るために多大なエネルギーを消費してしまいます。
そのため種ができるまで枯れたお花を放置しておくと、
クリスマスローズは病気にかかりやすく枯れる危険性が高くなるんですね。
なので種が必要無いのであれば、最盛期を過ぎて枯れる少し前の3月から
4月の初め頃にはお花を摘んであげた方がクリスマスローズの生育には良いですよ。
お花を摘む際は花茎を根元からハサミなどでカットするんですが、
カットするのに使うハサミなどはしっかりと消毒しないといけません。
これはクリスマスローズに限ったことじゃありませんが、雑菌が付いているハサミなどで
花茎をカットすると切り口から雑菌が入り込み枯れる原因となってしまいます。
ですからハサミなどを熱湯や消毒液でしっかりと消毒してから、
クリスマスローズの花茎をカットするようにしてくださいね。
ただしハサミなどを火で炙ると切れ味が悪くなって花茎がキレイにカットできず、
かえってクリスマスローズを傷付けることにもなるので、
火で炙る消毒はおすすめできません。
できればちょっと面倒臭いですが、
花茎を1本カットするごとに消毒するぐらい慎重でも良いかもしれないですよ。
クリスマスローズの葉は剪定しなくても良い
クリスマスローズのお花は枯れる前にカットした方が良いんですが、
葉については特に剪定する必要はありません。
放っておいても形が整うタイプの植物ですから、
根元付近に葉が密生しているということでもない限りは剪定しなくても大丈夫ですよ。
葉を剪定する際に新芽を傷つける危険性もありますし、葉を切り落しすぎると
新芽を露出させて寒風に晒してこれまた傷付けることになりかねません。
もし根元に葉が密生している場合は、
外側に倒れている葉茎を根元から5cmぐらいの位置でカットしておきましょう。
ちなみに、雑菌を侵入させないように切り口はできるだけ早く乾燥させる
必要があるので、お花や葉を剪定するのは晴れた日が良いですね。
クリスマスローズは素手で触らない方が良い
クリスマスローズの葉や液中には毒性があり、
肌に触れるとかぶれたり炎症を起こしたりする危険性があります。
それほど毒性は強くないので命に関わるようなことはありませんが、
剪定などでクリスマスローズを触る際にはゴム手袋などを着用するにしましょう。
できれば長袖・長ズボン・長靴も着用して、
クリスマスローズの葉や液汁が肌に触れないようにした方が良いですね。
もしクリスマスローズの葉や液汁に触れてしまったら、患部を水でよく洗い流し、
炎症などの症状が出たら病院で治療を受けてください。
まとめ
クリスマスローズは高温多湿を嫌いますから、
植える際には直射日光がなるべく当たらないようにしないといけません。
しかし植物ですから日光を浴び過ぎないのもダメなので、時間によって日なたと日陰が
変わる半日陰がクリスマスローズを植えるのには適した場所となります。
自宅建物とお庭の位置関係によってクリスマスローズを植えるのに適した場所を
見つけるのが難しいなら、鉢植えにすると良いですよ。
鉢植えなら移動させることができるので日中は日陰に置いておき、
朝夕は日なたに出すといったことができます。
お水や肥料の管理は多少難しくはなりますが、ガーデニング初心者なら日当たりの
管理がしやすい鉢植えのクリスマスローズがおすすめですね。