ツツジの剪定に適した時期は?剪定しないってアリ?

日本原産で気候風土に適しているので、比較的育てやすい植物なのが「ツツジ」です。

実際にツツジをお庭で育ててたり、生垣として利用したり、
中には引っ越したらお庭に植わってたなんてこともあるかもしれませんね。

植物によってはこまめに剪定しないとお花が咲かないこともありますが、
ツツジは剪定しないとお花が咲かないといったことは無いので、
その点も育てやすいと言われる理由の1つです。

しかしツツジが大きくなりすぎるのを防いだり、
キレイなフォルムを保つためにはやっぱり剪定は欠かせません。

ただツツジの剪定って意外と難しく、
剪定の仕方を間違えるとお花が咲かなくなってしまうこともあるんです。

そこでお花を咲かせるためのツツジの剪定について、詳しく見ていきましょう。

ツツジの剪定で重要なのは「時期」

ツツジを剪定する上でもっとも重要なのは、やり方や道具ではなく「時期」です。

植物ごとに剪定に適した時期があり、ツツジの場合は5月末から6月にかけての
約1か月、ちょうど梅雨入りの頃に剪定するのが良いんです。

ツツジは4月から5月初めにかけてお花を咲かせますから、
お花が咲き終わったらすぐに剪定するといった感じになります。

ちなみに寒冷地だとツツジの開花時期は5月から6月と少し遅くなるので、
剪定時期も6月末からの1か月と遅めになるんですね。

何だか余韻を楽しむ暇も無いほど慌ただしい気がしますが、ツツジはこの時期以外に
剪定すると次の年にお花が咲かなくなってしまう恐れがあります。

理由は後述しますが、自分でツツジを剪定するならお花が咲き終わった後の
5月末からの1か月間が絶対ですよ。

もし5月末からの1か月間に剪定できないんだったら、
翌年まで剪定しないか造園業者などプロに剪定をお願いしましょう。

花が咲き終わってすぐ剪定する理由

ツツジの剪定をお花が咲き終わってすぐの時期に行う理由は、
次の年にお花を咲かせる準備がすぐに始まってしまうからです。

春にお花を咲かせる植物の中には、
休眠期間である冬場にお花を咲かせる準備を始めるものもあります。

しかしツツジは、お花が咲き終わるとすぐに次の年の準備に入り、
1か月もすると花芽が出てくるんです。

なので5月末から6月の1か月間に剪定しないと花芽を切り取ってしまう可能性が高く、
花芽を切り取った結果、次の年にお花が咲かないことになってしまうわけです。

次の年にまたツツジのお花を楽しみたいんだったら、
必ずお花が咲き終わったらすぐに剪定するようにしましょう。

ツツジ科の剪定時期は花が咲き終わった後

お花が咲き終わった時期に剪定するのはツツジに限ったことじゃなくて、
ツツジ科の植物に共通したことです。

もっともポピュラーなツツジの品種は「ヒラドツツジ」ですが、それ以外の
・クルメツツジ
・オオムラサキツツジ
・吉野ツツジ
・レンゲツツジ
なども剪定時期はお花が咲き終わった後です。

さらにツツジという名前こそ付いていないものの
・サツキ
・シャクナゲ
・アザレア
などもツツジ科ですから、
ツツジと同じように剪定するならお花が咲き終わってからなんですね。

ツツジの剪定の仕方

ツツジを剪定する場合は
1.全体を刈り込む
2.不要な枝を間引く
3.微調整して樹形を整える
といった順番で作業を行うのが一般的です。

まず最終的にツツジをどのぐらいの大きさや形にしたいのかをイメージして、
そのイメージよりも少し小さめの刈り込みます。

次に他の枝に絡んでたり、内側に向かって伸びてたりする不要な枝を間引いて、
ツツジ全体の風通しを良くします。

そして最後に微調整で飛び出している枝などをカットして樹形を整えて、
ツツジの剪定は完了となります。

全体を刈り込む

ツツジの剪定では、まず最初に全体を刈り込んでいきます。

事前にどういった大きさや形にするのかをイメージしておき、
そのイメージよりも少し小さくなるように刈り込みましょう。

もっと具体的に言うと、イメージよりも3cmぐらい小さくなるように刈り込むと良いですよ。

次にお花が咲くのは1年後ですから、1年後にイメージ通りの大きさや形になるように、
ツツジが生長するのを見込んでイメージよりも少し小さめに刈り込むわけです。

イメージ通りに刈り込むと、ツツジが生長することで1年後にお花が咲いた時に
イメージと違った大きさや形になっちゃいますよ。

ツツジはお団子のように丸く剪定するのが一般的ですが、
これがベストの樹形ってわけでもないので好きな形に剪定して構いません。
(ただ丸く剪定されたツツジは可愛い)

強めに刈り込んでも大丈夫

ツツジは元々日本の気候に適している上に、生命力が比較的強い方ですから、
剪定の際に強めに刈り込んでも大丈夫ですよ。

植物によっては強めに刈り込むことで枯れることもありますが、ツツジの場合は強めに
刈り込んでも枯れる心配はほとんどありませんし、お花が咲かなくなることもありません。

さすがに根元からバッサリはダメですが、
大きくなりすぎたツツジをコンパクトな大きさに剪定することもできますよ。

ただしツツジはそれほど生長が早くありませんから、あまり強く刈り込みすぎると
お花が咲かなくなったり枯れたりすることもあるので注意してくださいね。

不要な枝を間引く

ツツジを全体的に刈り込んだら、次に不要な枝を間引いていきます。

特に湿気に弱いといったことはないんですが、ツツジの枝が必要以上に込み合うことで
風通しが悪くなって病気の原因となってしまうことがあります。

なので不要な枝を間引いて、
全体の風通しを良くしてツツジが病気になるのを防ごうというわけです。

剪定し慣れていないと間引くべき枝が分かりにくいかもしれませんが、
まずは枯れている枝を切り取りましょう。

それから太い枝に絡んでいる細い枝や、
外側ではなく内側に向かって生えているような枝も間引く対象ですね。

必要な枝は根元からバッサリ落としちゃダメですが、
不要な枝はまた伸びないように根元からバッサリ落として良いですよ。

微調整して樹形を整える

不要な枝を間引いたら、
最後に飛び出している枝をカットするなど微調整して樹形を整えます。

剪定しているツツジから一旦離れて遠目で全体を見て、
飛び出している枝やバランスの良くない箇所があればカットしていきます。

カットしては離れて全体を見てまたカットする、ということを繰り返して樹形を整えましょう。

ただし自分でツツジを剪定する場合はイメージ通り完璧に樹形を整えることは
難しいですから、ある程度のところで妥協して留めておいた方が良いですよ。

そうしないと完璧を求めて微調整し続け、
ツツジをかなり強めに刈り込んでしまうといったことになりかねません。

その結果、翌年ツツジのお花が咲かないなんてことになったら、
何のために剪定したのか分からなくなるので、
ツツジに限らず植物の剪定ではある程度の妥協が必要なんですね。

花がらを摘み取るだけでも立派な剪定

何も樹形を整えたり枝をカットしたりするだけが剪定じゃなくて、
ツツジのお花が咲き終わった後にその花がらを摘み取るだけでも立派な剪定です。

ツツジはお花が咲き終わると種を作るんですが、ツツジの種を取るつもりが無ければ、
ツツジを育てる上で種を作ることは必要ではありません。

種を作ることにエネルギーを使うと、
次の花芽が十分に作れないなどツツジの生長に影響が出てしまいます。

ですから咲き終わった花がらを摘んでおくことで、種を作るためのエネルギーを
花芽を作るなどツツジの生長に使わせることができるわけです。

ツツジのお花は最盛期を過ぎると茶色く変色するので、
お花が茶色くなってきたらお花から3cmほど下をカットしておくと良いですよ。

花がらを摘み取るだけでも翌年の花付きが変わってきますから、
大規模な剪定はしなくても花がらだけは摘み取っておきましょう。

ツツジの剪定に必要な道具

ツツジを剪定する場合には
・植木バサミ
・剪定バサミ
・刈り込みバサミ
の3種類があると便利ですよ。

ツツジの枝には直径が数cmのものもあるので、
さすがに紙を切るような普通のハサミではカットするのが難しいです。

また植物の茎や枝は1回でスパっとカットしてあげないと、
植物自体に負担をかけてしまいますから、絶対に剪定用のハサミを使ってください。

「植木バサミ」は1cm程度の細い枝をカットするのに使うハサミで、
少し特殊な形をしています。

そのため長時間使用していると手にマメができたりしますから、
自分の手にフィットする大きさ・形のものを選ぶようにしましょう。

「剪定バサミ」は植木バサミで切れないような太い枝をカットするためのハサミで、
ニッパーのように握って使うので少しの力で太い枝がカットできます。

「刈り込みバサミ」は全体を刈り込むための両手で使う大型のハサミで、
時代劇などで植木屋さんが使っているアレです。

ちなみに「高枝切りバサミ」を使ってツツジを剪定しても良いですが、
高枝切りバサミだと樹形を整えるのが難しいと思います。

なので剪定してツツジの樹形を整えたいんだったら、
先の3種類のハサミを使った方が良いですよ。

ハサミ以外でツツジの剪定に必要なもの

ツツジを剪定する時にハサミ以外で必要となる道具としては
・脚立
・軍手
・長袖、長ズボン
などが挙げられます。

ツツジは品種によっては背丈が10mほどにまで生長しますし、
そこまで大きくならなくても成人の背丈ぐらいの大きさになることはあります。

人の背丈ほどの高さになると手が届かない箇所も出てきますから、
脚立があった方が作業しやすいですよ。

ただし脚立に上っての作業は慣れていないと危険ですから、
ツツジが背丈が大きい場合は無理に剪定せずに業者さんなどにお願いしてください。

ツツジの枝にはトゲがあるわけじゃないですが、
枝の切り口などで手や腕・足を切ってしまうことがあるかもしれません。

また皮膚が弱いとツツジに触れただけでかぶれることもありますから、
剪定する時はツツジが直接肌に触れないように軍手と長袖、長ズボンを着用しましょう。

電動ヘッジトリマーがあると作業効率は上がるが・・・

ホームセンターなどで手に入る電動のヘッジトリマーを使えば、
刈り込みバサミを使うよりも全体の刈り込み作業は効率が良くなります。

私は実際に友人宅で電動ヘッジトリマーを使わせてもらったことがあるんですが、
コツを掴まないと使いこなすのがちょっと難しいです。

また軽いものは2kgぐらいですが、
少し重いものだと4~7kgぐらいあるので長時間扱うのはかなりの重労働なんですね。

生垣など剪定するツツジが何本もあるなら電動ヘッジトリマーがあると便利ですが、
1~2本の剪定なら刈り込みバサミでも十分ですよ。

剪定で使うハサミは必ず消毒する

ツツジに限らず植物を剪定する際には、ハサミを必ず消毒しておきましょう。

使わずに保管しておいたハサミには雑菌が繁殖している可能性があり、
そのハサミで剪定すると切り口から雑菌が植物内部に入り込んでしまう恐れがあります。

雑菌が入ると植物が病気になったり枯れたりする原因となりますから、
剪定する際には必ずハサミを消毒した方が良いってわけです。

さすがに枝1本ごとに消毒する必要はありませんが、
複数のツツジを剪定する場合は念のために1株ごとに消毒した方が良いんですね。

ただし火でハサミを炙ると切れ味が鈍ってしまい、
枝が1回でスパッと切れずにツツジに余計な負担をかけてしまいます。

なので火で炙って消毒するのではなく、
剪定で使うハサミの消毒には熱湯か消毒液を使いましょう。

剪定した枝や葉の処分方法

ツツジを剪定して出た不要な枝や葉はそのまま放っておくわけにいきませんから、
処分することになります。

少量なら燃やすゴミとして自治体が回収してくれますが、量がある程度多くなるようなら
処分方法を事前にしっかりと確認しておかないといけませんよ。

大量の枝や葉の処分方法には
・小分けにして燃やすゴミに出す
・ゴミ処理センターに持ち込む
・産廃処理業者に回収してもらう
などがあります。

少量の枝や葉は燃やすゴミとして出せるので、ツツジの剪定で出た大量の枝や葉を
小分けにして何週間に渡って燃やすゴミの日に出してもOKです。

大量の枝や葉を一度に処分するんだったら、自分で自治体のゴミ処理センターに
持ち込むか産廃処理業者に回収してもらいましょう。

ゴミ処理センターに持ち込んだり産廃処理業者に回収してもらう場合には、
枝や葉の量に応じた料金が発生するので注意してくださいね。

ツツジの枝や葉を処分する際の注意点

剪定して出たツツジの枝や葉を処分する際には、
・枝は短くカット
・土は落とす
・切り口は極力尖らないようにする
・枝や葉は乾燥させておく
といった注意点があります。

枝や葉を燃やすゴミで出すにしても、ゴミ処理センターや産廃処理業者に
処理してもらうにしても、ある程度コンパクトにまとめておかないといけません。

特に燃やすゴミとして出す場合には、枝の長さや束の太さなどに決まりがあるので
事前にしっかりと確認しておきましょう。
(決まりに反していると回収してもらえない)

ちなみに私が住んでいる自治体では、燃やすゴミとして木の枝を出す場合は
・長さ1m以内
・1本の太さ直径10cm以内
・1束の直径30cm以内
と決まっています。

枝や葉の処分を業者さんにお願いする場合は重さで料金が決まりますから、
余分な土は落し、枝や葉は乾燥させて少しでも軽くなるようにしておくと良いですよ。

また枝の切り口はできるだけ尖らないようにしておくことで、
回収してくれる業者さんはもちろん自分自身も怪我をしなくて済みます。

剪定したツツジの枝や葉を燃やすのは絶対ダメ

剪定して出たツツジの枝や葉を、
お庭で燃やして処分するのだけは絶対にしちゃダメですよ。

いわゆる「野焼き」は法律で禁止されており、地面に掘った穴の中やドラム缶に入れて
燃やすのも野焼きと見なされ、場合によっては重い罰則が科される恐れがあります。

ですから剪定して出た枝や葉は必ず、
小分けにして燃やすゴミに出すか業者さんに回収してもらうようにしましょう。

ちなみに冬に田畑で野焼きをしているのを今でも見かけることがありますが、
農林漁業者が業務として必要な場合に現地で行う野焼きは例外として
認められています。

じゃあ農林漁業を営んでいれば剪定したツツジの枝や葉を野焼きしても良いのか
と言うと、厳密にはそれもダメです。

あくまで農林漁業の業務に必要な場合に例外として認められているだけですから、
農林漁業者でも自宅のツツジを剪定して出た枝や葉を野焼きしちゃダメなんですね。

ツツジの剪定を業者に頼むといくらかかる?

普段からお手入れしていても、ツツジのように大きく生長する木を剪定するとなると、
ある程度慣れていないと簡単にはできません。

また剪定に適した時期を逃してしまうと、切って良い枝とダメな枝の見分けが
できませんから、剪定することがマイナスになってしまうこともあります。

そうするとプロの業者さんにツツジの剪定をお願いしようってことになりますが、
じゃあいくらぐらい料金がかかるのかが心配になりますよね。

プロの業者さんにツツジの剪定をお願いした場合
・剪定にかかる費用
・職人さんの人件費
を合わせた料金を払わないといけません。

ツツジの剪定にかかる費用は
・低木・・・3,000円前後
・中木・・・7,000円前後
・高木・・・15,000円前後
・生垣・・・1m当たり2,000円前後
が相場です。

ちなみに「緑化面積算定基準」によると
・低木・・・成木の樹高が1.5m以下
・中木・・・成木の樹高が1.5m~3m以下
・高木・・・成木の樹高が3m以上
と定義付けされていますが、業者さんごとに認識が違う可能性があるので
事前に問い合わせて確認してください。

職人さんの人件費の相場が20,000円程度ですから、
ツツジ1本の剪定に23,000~35,000円ぐらいはかかりますね。

ツツジの花が咲かないのは剪定だけが原因じゃない

お花が咲き終わった後にツツジを剪定して翌年にお花が十分に咲かなかった場合、
普通は剪定に失敗したと思いますよね。

もちろん剪定の際に花芽が付いている枝を落としてしまったってことも考えられますが、
ツツジのお花が咲かない理由は他にあるかもしれません。

まず考えられるのは「日照不足」です。

ツツジは街路樹として植えられることも多いですから、
多少直射日光が強く当たるぐらいは何てことなくて、日当たりの良い場所を好みます。

剪定した後に隣に敷地に家が建ったとかお庭に物置を置いたなどでツツジを
植えている場所が日陰になって、結果日照不足でお花を咲かせなくなったということも
考えられます。

剪定以前は普通にお花が咲いていたのであれば日当たりには問題が無かった
はずですから、剪定前後で何か変わったことが無いか確認してみてください。

肥料の与えすぎ

ツツジを育てる土壌は肥沃であるに越したことはありませんが、
肥沃すぎるとかえって花付きを悪くしてしまうことがあるんです。

なので、剪定したことでツツジが少し弱っていると思って剪定後に肥料を
多く与えてしまうと、栄養過多になって翌年の花付きに影響が出てしまいます。

お花が咲かないのは栄養不足のせいだと思い込んでさらに肥料の量を増やす
という悪循環にもなりかねませんから、剪定後に必要以上に肥料を与えないように
注意してくださいね。

ツツジへの肥料は、
・お花が咲き終わった5~6月頃
・枝が充実してくる9月下旬
・休眠期間に入る1月
の年3回で十分ですよ。

ツツジに与えるのは基本的にジワジワと効果が現れる緩効性肥料なので、
9月と1月の年2回でも十分で、お花が咲き終わる5~6月頃の礼肥は与えなくても
大丈夫です。

まとめ

ツツジはお花が咲き終わってしばらくすると次の花芽を作り始めますから、
お花が咲き終わってすぐから次の花芽を作り始めるまでの1か月間しか剪定できる
期間がありません。

この時期を逃すと花芽まで剪定してしまう可能性が高く、
翌年の花付きに大きな影響が出てしまいますよ。

なのでツツジを剪定するならお花が咲き終わってすぐ、
この時期を逃したのならプロの業者さんにお願いして剪定してもらいましょう。

ツツジの樹形をキレイに保つには剪定が必要ですが、
ツツジの生長そのものには剪定はあまり必要ではありません。

ですから剪定の時期を逃したのであれば、
「剪定しない」という選択肢を選ぶのもアリだ思いますよ。

 

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