シャクナゲを小さくしたいんだけど、強く剪定しても良い?

春にいくつかのお花が半球状に連なって咲くのが特徴的な「シャクナゲ」。

品種改良されたものだと背丈が数十cmで植木鉢で育てることもできますが、
原種に近いものだと3mぐらいの高さにまで生長します。

また横幅が2m以上になることもありますから、場合によってはシャクナゲが
お庭に相応しくないほどの大木になってしまうこともあるんです。

お庭のシャクナゲがあまりに大きくなりすぎると、
少し強めに剪定して小さくしたいと思いますよね。

そこで大きくなりすぎたシャクナゲを剪定で小さくすることができるのかどうかなど、
シャクナゲの剪定方法などについて詳しくみていきましょう。

シャクナゲを剪定で小さくすることはできない?

大きく生長しすぎたシャクナゲを小さくしたいと考えている人も多いかもしれませんが、
シャクナゲを剪定で小さくすることはまずできないと思った方が良いですよ。

シャクナゲと同じツツジ科の植物でも強めに剪定して大丈夫なものもあるんですが、
シャクナゲは強めに剪定することができないんです。

強めの剪定ができる植物は、
幹や枝の途中からでも新芽を出して生長することができます。

しかしシャクナゲは新芽が出る場所が決まっていて、
幹や枝の途中からは新芽を出すことができないので、
新芽が出る場所を剪定で落とすと新芽が出なくなってしまいます。

新芽が出ないってことはお花はもちろん葉も付きませんから、
強めに剪定したことでシャクナゲが枯れてしまう可能性が高いんですね。

シャクナゲは強めに剪定すると枯れる恐れがあるので、
大きくなりすぎたシャクナゲを剪定で小さくすることはできないというわけです。

品種によっては剪定で小さくできることもある

シャクナゲの品種によっては、
大きくなりすぎたものを強めに剪定して小さくすることもできます。

元々シャクナゲは高山植物ですから、現在園芸店などで販売されている苗木の多くは
低地でもお花が咲くように改良された品種となっています。

改良された品種の中には、
他の植物と同じように幹や枝の途中から新芽が出るようになっているものがあります。

こういう品種のシャクナゲであれば、強めに剪定しても新芽が出てきますから、
大きくなりすぎたものを剪定で小さくすることができるんですね。

ただ幹や枝の途中から新芽が出る品種かどうかを見極めるのが結構難しいので、
私個人としてはやっぱりシャクナゲは強めに剪定しない方が良いと思いますよ。

幹や枝の途中から芽が出ているシャクナゲは品種改良されたもので、
強めに剪定しても大丈夫な品種である可能性が高いです。

しかし品種改良されたシャクナゲだと思って強めに剪定したら
枯れてしまったということが無いわけじゃないので、
素人考えでシャクナゲを剪定するのはおすすめできません。

大きくなりすぎたシャクナゲをどうしても小さくしたいというのであれば、
プロの剪定業者さんなどにお願いして剪定してもらいましょう。

シャクナゲが大きくなりすぎないようにするには

お庭に植えたシャクナゲが大きくなりすぎないようにするには、
シャクナゲが生長する過程で「芽かき」という作業を行っておくことが重要です。

大きくなりすぎたシャクナゲを剪定で小さくすることは難しいので、
大きくなりすぎないようにお手入れしてあげるってことなんですね。

芽かきというのは、
少し(具体的には5cmぐらい)伸びてきたシャクナゲの新芽を摘み取る作業のことです。

「新芽を摘み取ったら葉が付かなくなって枯れる」と思うかもしれませんが、
シャクナゲは新芽を摘み取ってあげることでその脇から新たに芽が出やすくなります。

シャクナゲは放っておくと上へ上へと生長しますが、新芽を摘んで脇から新たに
芽を出させることで上への生長を抑制することができるわけです。

また芽かきをしてその脇に芽を出させることで、
枝が増えて次の春に咲くお花の数も増えるんですよ。

ただし芽かきをすることでシャクナゲは横に向けて生長してしまい、
高さは抑制できても横幅が2mを超えてしまうこともあります。

植える場所を選ぶことでもシャクナゲの生長は抑制できる

芽かきをすることでもシャクナゲが大きくなりすぎるのを防ぐことができますが、
植える場所によってもシャクナゲの必要以上な生長を抑制することができるんです。

シャクナゲは、直射日光が強すぎるのはダメですが、
どちらかと言うと日当たりの良い場所を好みます。

逆に言うと、それほど日当たりの良くない場所だと
シャクナゲはそれほど生長しないってことになりますよね。

さすがに完全に日陰だと枯れてしまいますが、朝夕の太陽の位置が低い時には
日なたになって太陽が高くなるお昼には日陰になるような場所なら、
シャクナゲが大きくなりすぎる可能性が低いんです。

なのでこれからシャクナゲを植えるもしくは鉢植えでシャクナゲを育てている
という場合には、日が当たる時間の短い半日陰に植えるか鉢を置いておきましょう。

日当たりの良い場所に地植えしてしまっている場合は、
ヨシズや遮光ネットなどで日当たりを調節してあげると、
シャクナゲが必要以上に大きくなるのを防げるかもしれないですよ。

シャクナゲは「花後」に剪定する

シャクナゲの剪定では、先の芽かき以外にも
・花がらを摘む
・花芽を摘む
・余分な枝を落とす
などを行います。

それぞれの方法は後述しますが、
こうしたシャクナゲの剪定は「花後」と言われる時期に行わないといけないんですね。

花後とは文字通りお花が咲き終わった後のことで、
シャクナゲに限らずツツジ科の植物全般に通じる剪定に適した時期です。

花後以外の時期にシャクナゲなどツツジ科の植物を剪定してしまうと、次の春に
花付きが悪くなったり場合によっては全然お花が咲かないなんてことになっちゃいます。

なので剪定に適した時期と言うよりも、シャクナゲを含めたツツジ科の植物の剪定は
花後にしかできないと言っても良いぐらいなんですよ。

シャクナゲの剪定は花後にしかできない理由

シャクナゲを含むツツジ科の多くの植物で剪定が花後にしかできないのは、
お花が咲き終わってしばらくすると花芽を作り始めるからなんです。

ツツジ科以外の植物だとお花が咲く少し前に花芽を作り始めることもあるので、
花後以外の冬場に剪定することができたりもします。

しかしシャクナゲなどツツジ科の植物は、
お花が咲き終わるとすぐに次の花芽を作る準備を始めてしまいます。

なのでお花が咲き終わってから次の花芽を作り始めるまでの僅かな間しか、
剪定できる期間が無いんですね。

花芽を作り始めてからシャクナゲを剪定すると、
花芽が出てくる部分を切り落としてしまい、次の春に花付きが悪くなってしまうわけです。

シャクナゲのお花は大体4~6月頃に咲きますから、
6月末から7月にかけてが剪定に適した時期になりますよ。

10月頃になると枝に花芽が付き始めるので、
どんなに遅くても10月までにはシャクナゲの剪定を終えましょう。

ただ見えない部分で花芽を付ける準備をしていますから、翌年の花付きを
悪くしたくないならシャクナゲの剪定は花後すぐに行った方が良いですね。

シャクナゲの剪定方法

シャクナゲの剪定では先にも少し書いたように、主に
・芽かき
・花がらを摘む
・花芽を摘む
・余分な枝を落とす
という4つの作業を行います。

芽かきは先にも説明しましたが、
シャクナゲの枝の新芽が5cmほど伸びたら摘み取る作業のことです。

新芽を摘み取ることでその脇から新しい芽が出て、
上への生長を抑制するとともに枝やお花を増やす効果が期待できます。

「花がらを摘む」は咲き終わって萎れたお花を摘む作業のことで、
これを行うことで翌年のシャクナゲの花付きが良くなります。

「花芽を摘む」はシャクナゲの枝についた余分な花芽を間引くことで、
シャクナゲの寿命を延ばすことに繋がるんですね。

「余分な枝を落とす」は文字通りの作業で、
枝が混み合って過湿状態にならないようにしてシャクナゲを病気から守ります。

花がらを摘む

シャクナゲのお花が最盛期を過ぎて萎れてきたら、花茎ごと摘み取ってあげましょう。

花がらを摘む目的の1つには、萎れたお花をいつまでも放っておくことで
シャクナゲに余分なエネルギーを使わせないことがあります。

萎れたとは言えお花が付いている内は、
シャクナゲはお花を維持するために栄養分や水分をお花に送り続けます。

しかし枯れるのを待つだけのお花に栄養分や水分を送るのはムダですから、
萎れたお花を摘んで、その分の栄養や水分を他のことに使わせようってわけです。

もう1つはシャクナゲに種を作らせないってことです。

シャクナゲはお花が萎れると同時に種を作り始めるんですが、
種を取る目的が無ければ、この種を作ることに意味はありません。

種を作る作業にも当然栄養分や水分が費やされますから、種を作り始める前に
花がらを摘んで、シャクナゲが余計なエネルギーを使うのを防ぐんですね。

萎れたお花を維持したり種を作ったりするのに使われる予定だったエネルギーを、
花がらを摘むことで花芽を作ったりシャクナゲの樹勢を保ったりするのに使えるように
なります。

なので花がらを摘んでおくと、
シャクナゲ自体が健康になって翌年の花付きも良くなる可能性が高くなりますよ。

花芽を摘む

夏から秋にかけてシャクナゲの枝に花芽が付き始めたら、
余分な花芽は摘み取っておきます。

シャクナゲは複数のお花が半球状に連なって咲くため、
お花の数が多くて豪華な見た目になります。

しかしお花の数が多いと言うことはそれを咲かせるのに必要なエネルギーも多くなり、
結果的に寿命を縮めてしまうことになるわけです。

そこで余分な花芽を摘み取って1本の枝に咲くお花の数を抑えることで、
使うエネルギーを減らしてシャクナゲの寿命を延ばすことに繋がるんですね。

また場合によっては、比較的太くて元気な枝の花芽だけいくつか残して、
細い枝の花芽は全て摘んでしまうといった方法を取ることもあります。

花芽を摘むことでお花が咲いた時の豪華さは失われてしまいますが、
その分長くシャクナゲのお花を楽しむことができますよ。

余分な枝を落とす

シャクナゲ全体を見て、
・細く弱った枝
・内向きに伸びている枝
・他の枝に絡んでいる枝
などがあれば落とすようにしましょう。

シャクナゲは特に剪定しなくても樹形が整うタイプなので、
無理に剪定する必要はありません。

ただ、その余分な枝を維持するのにエネルギーを使いますから、
生長や花付きが期待できない細い枝や他の枝とは違う方向に生長する枝は
落としておいた方が良いですね。

また内向きに伸びたり他の枝に絡んだりしている枝があると、
シャクナゲの枝が混み合ってしまいます。

枝が混み合うことで風通しが悪くなって蒸れ、シャクナゲが病気になる原因と
なりますから、余分な枝はカットして風通しを良くしておきましょう。

シャクナゲの剪定で余分な枝を落とす際には、
枝先をカットするだけや枝の根元を残すんじゃなくて、枝の根元からカットしてください。

通常の剪定では、剪定後に枝が生長することを見込んで、
枝先を少しカットしたり枝の根元数cmを残したりします。

しかしシャクナゲの剪定では、剪定した余分な枝は生長させる必要が無いので、
根元からカットするわけです。

シャクナゲの剪定はハサミを使わない方が良い?

シャクナゲを剪定する場合、余分な枝を落とす以外の芽かきや花がら摘み、
花芽摘みの作業では極力ハサミなどは使わない方が良いですよ。

実はシャクナゲってかなりデリケートで、
剪定した切り口から鉄分が入り込んでしまうだけでも枯れちゃうことがあります。

なので、余分な枝を落とすのにはハサミを使わざるをえませんが、
芽かきや花がら摘み、花芽摘みはできれば手で行うようにしましょう。

あくまで極力使わない方が良いってだけで絶対使っちゃダメってことじゃありませんから、
手で行うのが難しい場合はハサミを使っても構いませんよ。

ただしシャクナゲの剪定でハサミを使う場合は、専用の剪定ばさみなどを使ってください。

紙などを切るような普通のハサミだと1回でスパっと枝が落とせずに、
シャクナゲに負担をかけてしまう恐れがあります。

ですからシャクナゲの枝や芽を落とす際には、
切れ味の良い剪定ばさみを使ってくださいね。

剪定ばさみの消毒は忘れずに

シャクナゲの剪定でハサミを使うんだったら、ハサミの消毒も忘れずに行いましょう。

万全を期すなら枝を1本落とすごとに消毒した方が良いですが、それはさすがに
面倒ですから、剪定を始める前と1本のシャクナゲの剪定が終わった後でOKです。

これはデリケートなシャクナゲに限らずほとんどの植物に共通することで、
雑菌の付いた剪定バサミで枝を剪定して切り口から雑菌が入ると枯れる原因と
なってしまいます。

なので切り口から雑菌が入らないように、
剪定を始める前に剪定ばさみを消毒しておくってわけなんですね。

剪定ばさみは熱湯か消毒液で消毒して、火で炙って消毒するのは止めてください。

火で炙るとハサミの刃の部分に煤が付いて切れ味が鈍り、
枝などを1回でスパっと落とせなくなってしまいます。

ですからシャクナゲに限らず植物の剪定で使うハサミは火で炙って消毒するのではなく、
熱湯か消毒液で消毒するようにしましょう。

シャクナゲの剪定は素手では行わない

花がら摘みぐらいなら剪定っていうほど大袈裟な作業じゃありませんから、
気が付いた時に素手で萎れ始めたお花を摘んじゃいそうですよね。

しかしシャクナゲの剪定を行う場合には軍手などを着用するようにして、
できるだけ素手でシャクナゲのお花や葉、芽などを触らないようにしましょう。

シャクナゲの葉・茎・お花には毒性があり、
品種によっては口に入れることで中毒症状を引き起こしてしまう恐れがあります。

「ハクサンシャクナゲ」など自生する品種は毒性がある可能性が高いですから、
山などでシャクナゲを見つけても安易に触らない方が良いですよ。

また「セイヨウシャクナゲ」など園芸用として苗木が販売されている品種にも
毒性があるので、間違っても口に入れるのは避けてください。

シャクナゲの毒性は触っただけで肌がただれたりかぶれたりするほど強くは
ありませんが、肌が弱い人だとかぶれる可能性がゼロじゃありません。

なのでシャクナゲの剪定を行う場合は軍手などの手袋はもちろん、長袖・長ズボンを
履いてシャクナゲの葉・茎・お花が肌に直接触れないようにしましょう。

剪定した枝などの処分方法

シャクナゲを剪定して出た
・枝
・新芽、花芽
・花がら
の処分方法についてもしっかりと確認しておかないといけませんよ。

強めの剪定を行うと大量の枝が出ますが、
シャクナゲでは強めの剪定は行わないのでそんなに大量の枝が出ることはありません。

なので剪定したシャクナゲの枝などは、指定のゴミ袋に入れてゴミの日に出せば、
自治体が燃やすゴミとして回収してくれます。

ただし自治体によっては、樹木の枝の処分にルールが設けられていることがあります。

例えば私が住んでいる地域だと
・1本の長さ・・・1m以内
・1本の太さ・・・10cm以内
・1束の太さ・・・30cm以内
となっています。

ですから剪定したシャクナゲの枝を燃やすゴミとして出す場合は、
自治体のルールに収まる長さ・太さにカットしてくださいね。

また枝の先が尖っているとゴミ袋を突き破ってしまうこともありますし、
ゴミを収集する作業員さんが怪我をしてしまう恐れもあります。

なので燃やすゴミとして出すシャクナゲの枝の先端は、
できるだけ尖らないように加工しておきましょう。

シャクナゲの剪定をプロにお願いするといくらぐらいかかる?

シャクナゲの剪定自体はそれほど難しくありませんが、
大きくなりすぎたシャクナゲを剪定で小さくするのは素人だと至難の業です。

ですから大きくなりすぎたシャクナゲを小さくしたり、
花後以外にシャクナゲを剪定するとなった場合にはプロにお願いした方が良いですよ。

とは言え、プロにシャクナゲの剪定をお願いするといくらぐらい費用がかかるのかが
心配だったりしますよね。

シャクナゲに限らず樹木の剪定費用には
・日当制
・単価制
という2種類の料金体系があり、それぞれによってかかる費用が違います。

日当制の場合は職人さん1人当たり15,000~30,000円ぐらいで、
設定時間内であれば何本剪定してもらっても金額は変わりません。

単価制の場合の料金は
・2mまで・・・1本当たり3,000円前後
・4mまで・・・1本当たり6,000円前後
・6mまで・・・1本当たり15,000円前後
・7m以上・・・要相談
となっており、剪定してもらう樹木の本数によって金額が変わります。

シャクナゲが大きくなると言っても3mぐらいまでですから、
高くても1本当たり6,000円前後で収まる可能性が高いです。

ですから1~2本の剪定なら単価制、3本以上剪定してもらうんだったら
日当制の業者さんにお願いした方がお得ですよ。

シャクナゲの剪定は資格を持った職人に任せたい

強めに剪定すると枯れてしまったり、剪定の仕方によってはお花が咲かなくなったりと
シャクナゲの剪定方法は少し特殊です。

なので樹形をキレイに仕上げるだけでなく、次の春にもしっかりとお花が咲くように
するには、資格を持った職人さんに剪定をお任せしたいところです。

剪定に関する国家資格には
・造園施工管理技士
・造園技能士
・園芸装飾技能士
の3つがあり、少なくとも3つの内の1つを取得している職人さんに任せるのが
確実ですね。

ホームページや広告だけでは資格の有無は分からないことも多いので、
できれば電話などで問い合わせて直接資格を持った職人さんが居るかどうかを
確認すると良いですよ。

また実際に剪定をお願いする際には、
資格を持った職人さんに来てもらえるように念押ししておくと思います。

まとめ

シャクナゲは幹や枝の途中から新芽を出すことはありませんから、
強めに剪定すると新芽が付かずに枯れてしまう恐れがあります。

ですから大きくなりすぎたシャクナゲを剪定で小さくするのは難しく、
どうしても小さくしたい場合はプロの剪定業者さんに相談するしかないですね。

お庭に植えたシャクナゲが大きくなりすぎないようにするには、
花後に芽かきをして枝が上に伸びないようにしましょう。

それから日当たりが良いとシャクナゲが大きくなりすぎる可能性があるので、
半日陰など日当たりが良過ぎない場所に植えることでシャクナゲの必要以上の生長を
抑えることができます。

大きくなりすぎたシャクナゲを小さくするのは難しいですから、
大きくなりすぎる前に何かしらの対応を取った方が良いですよ。

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