ツツジのサツキの見分け方のポイントは?

今はあまりやらないみたいなんですが、小学生ぐらいの頃に校庭や公園に咲いている
お花の蜜を吸って遊んだことがある人も居るんじゃないでしょうか。

子供の頃に蜜を吸ったことがあるお花は恐らく「ツツジ」で、
そのツツジによく似ているのが「サツキ」というお花です。

ツツジとサツキは本当によく似ていて、ある程度植物に詳しい人でも
パッと見ただけでは見分けが付かないこともあるぐらいです。

そこで見分け方などツツジとサツキの違いについて詳しく説明しますね。

ツツジとサツキの見分け方

ツツジとサツキを見分ける大きなポイントは
・花の大きさ
・葉の大きさと質感
の2つです。

大まかに言うと、ツツジの方がお花が大きい、
サツキの方が葉が小さくて質感が硬いというところで見分ける感じですね。

もちろんこの2つ以外にも違いはあるんですが、結構細かい違いだったりするので、
分かりやすい見分け方のポイントは「お花の大きさ」と「葉の質感」になります。

ツツジの方が花が一回り大きい

ツツジとサツキの見分け方の1つとして、
「ツツジの方がサツキよりもお花が一回り大きい」ということが挙げられます。

ツツジのお花は完全に開くと6cm程度になる場合が多く、身近なもので言うと
・キャッシュカードの短い辺(5.5cm)
・iPhone7の幅(6.7cm)
ぐらいの大きさです。

一方サツキのお花はそれよりも小ぶりな4cm程度で、
・SDカードの長い辺(3.2cm)
・一円玉の直径の2倍(4cm)
ぐらいの大きさなんですね。

キャッシュカードぐらいの大きさのものならカバンに1つ2つ入っているでしょうから、
それを実際にお花に充ててみればツツジかサツキか簡単に見分けられますよ。

同じツツジやサツキでも品種や個体によってお花の大きさが違うことはありますが、
一般的にツツジの方がサツキよりもお花は大きくなっています。

雄しべの数はツツジの方が多い

お花の違いで言うと、お花の中にある雄しべの数がツツジとサツキでは違っており、
一般的にはツツジの方が雄しべの数が多くなっています。

サツキの雄しべはほぼ5本と決まっていて、
雄しべの数が5本よりも少なかったり多かったりするサツキはあまり見られません。

対してツツジの雄しべの数は5本以上となっており、オオムラサキツツジなど
品種によっては1つのお花に10本の雄しべが付いてることもあるんですね。

なので雄しべが5本だと見分けが付かないかもしれませんが、
6本以上であればほぼ間違いなくツツジということになります。

花弁の模様でも見分けられる

お花の違いでもう1つ、サツキの花弁にはあってツツジの花弁に無いものがあります。

それが「模様」で、サツキの花弁には細かい点々の模様が付いていますが、
ツツジの花弁には点々模様はありません。

この点々模様は結構目立ちますから、そんなにお花に顔を近付けなくても、
ある程度遠目からでも点々模様の有無は判断できますよ。

ただし品種や固体によってはサツキでも花弁に点々模様が付いていないこともあるので、
点々模様の有無だけでツツジとサツキを見分けるのは難しいんですね。

花の色で見分けられないこともないが・・・

ツツジも豊富とは言えませんが、お花の色には
・白
・ピンク
・紫
といったバリエーションがあります。

しかしサツキのお花の色は基本的に紅赤色のみですから、
色の違いでツツジとサツキを見分けられないことはありません。

ただこれは自生しているツツジやサツキの話しで、園芸店などでは品種改良された苗や
種も売られていて、必ずしも色で見分けられるとは限らないんですね。

実際に紅赤色以外の白や紫のサツキも園芸店などでは販売されていますし、
ツツジにも紅赤色のものはあります。

校庭や公園、歩道などで咲いているツツジやサツキにも品種改良されたものがあるかも
しれませんから、白いからツツジ、赤いからサツキとは決めつけられませんよ。

サツキの葉は小さくて質感が硬い

ツツジとサツキを見分けるもう1つのポイントが、
「サツキの方が葉が小さくて質感が硬い」ということです。

お花の大きさでも見分けられますけど4cmと6cmの違いなんで、
葉の方が見分けやすいかもしれないですね。

どちらも葉には光沢があって裏に毛が生えているんですが、ツツジの葉が
5~7cm程度の大きさなのに対してサツキの葉は2~3cm程度となっています。

葉の大きさがツツジとサツキでは2倍ぐらい違いますから、葉が大きいのがツツジ、
葉が小さいのがサツキと見分けられるわけです。

また質感もツツジが柔らかいのに対してサツキは硬いので、
大きさプラス実際に触った質感で確実に見分けられますよ。

葉の裏の毛の色も違う

ツツジもサツキも葉の裏には毛が生えているんですが、
その色の違いでも見分けることができます。

ツツジの葉裏に生えている毛は緑色で、サツキの葉裏に生えている毛は茶色です。

人によって物の見え方とか感じ方が違うから、
ツツジやサツキ単体だと葉が大きいとか硬いだけじゃ分かりにくかったりもします。

でも緑色と茶色を同じ色という人は居ませんから、人によっては先に紹介した
ポイントよりも案外葉裏の毛の色の方が分かりやすい違いかもしれないですね。

また毛の生え方にも少し違いがあって、ツツジは葉裏に毛が密集して生えており、
材質によっては衣服にくっ付きます。

サツキの葉裏の毛はツツジほど密集してはいないので衣服にはくっ付かないので、
葉裏に服の袖などを近付けてくっ付くかどうかで見分けることもできますよ。

全体の大きさにも違いがある

お花や葉といった特定箇所じゃなくて、
ツツジとサツキでは植物全体としての大きさが違っています。

サツキは低木ですから背丈はせいぜい1~1.5mまでで、
住宅などの生垣として植えられていることも多いです。

ツツジはどちらかと言うと高木になるので、
大きいものだと背丈は10mぐらいまで生長します。

ですから背丈が成人よりも少し低いならサツキ、
成人並みかそれよりも大きいならツツジという見分け方もできるんですね。

ただツツジの中には低木の品種もあり、それはサツキと同じぐらいの背丈ですから、
やはり背丈だけでは見分けることはできません。

冬になればツツジとサツキは一目瞭然?

お花が咲いていたり葉が茂っている時期は見分けが付きにくいですが、
休眠状態になる冬には簡単に見分けられることもあります。

サツキは常緑樹ですから、休眠状態となる冬場でも葉が全て落ちることはありません。(古い葉が落ちることはある)

しかしツツジは落葉樹なので、日照時間が短くなって気温が下がってくると葉が色付き、
冬になるとほぼ全ての葉が落ちてしまいます。

ですからお花の咲いていない冬に葉が付いていないとツツジ、
付いているとサツキという見分け方もできないことはないんですね。

ただオオムラサキツツジのようにツツジも品種によっては
サツキと同じ常緑樹だったりしますから、冬に葉が付いているかどうかは
ツツジとサツキの決定的な違いにはなりません。

ツツジとサツキは開花時期が違う

明確な見分け方とは言えませんが、ツツジとサツキでは開花時期にも違いがあります。

ツツジの開花時期は4月中頃から5月初めにかけてで、
お花が咲いている期間が大体2週間ぐらいと少し短めです。

対するサツキの開花時期は5月中頃から7月にかけてで、
お花が咲いている期間はツツジよりも長い1か月前後となっています。

なので桜が咲き終わってからしばらくして咲き始めるのがツツジで、
そのツツジが咲き終わってから咲き始めるのがサツキなんですよ。

またゴールデンウイーク頃に見られるのがツツジで、
ちょうど梅雨時期に見られるのがサツキという言い方もできますね。

葉が先か花が咲きか

開花時期の違いに関連して、
ツツジとサツキではお花が咲くのと葉の新芽が出る順序も逆になっているんです。

植物の葉は生育に必要なエネルギーを作る器官であり、
お花は受粉して種を作るための生殖器官と言われます。

種を作るのにもエネルギーが必要ですから、
まず葉が茂って後からお花が咲くのが一般的なんですね。

サツキはその一般的な順序通りに、
まず葉の新芽が出てからお花が咲くようになっています。

ところがツツジは桜と同じように一般的な順序とは逆で、
お花が先に咲いてから葉の新芽が出てきます。

なので葉が茂っていないのにお花が咲くのがツツジ、
葉が茂ってから咲くのがサツキという見分け方もできますよ。

花の咲き方にも違い

お花が咲く時期や咲いている期間、葉の新芽より先か後かといった違うもあるんですが、
ツツジとサツキではお花の咲き方にも違いがあります。

ツツジのお花は一斉に咲くのに対して、サツキのお花は順々に咲いていきます。

ですからツツジは蕾がほころんだと思ったら一気に満開になりますが、
サツキは1個ずつ蕾が開いていって数日後に満開になるといった具合ですね。

ツツジでは開いたお花と蕾が同時に存在しないので、
開いたお花とほころびかけの蕾があればそれはサツキだということになりますよ。

俳句の世界ではツツジとサツキでは季節感が違う

余談ではありますが、テレビ番組の影響でちょっとした俳句ブームが起きているので、
俳句の世界におけるツツジとサツキの違いも紹介しておきますね。

ツツジもサツキも俳句の季節感を表す言葉である「季語」になっているんですが、
ツツジとサツキでは表す季節感が違っています。

ツツジの開花時期は4月中頃で、旧暦で言うと晩春に当たりますから、
ツツジを季語として使うと春の終わりごろを詠んだ俳句となるわけです。

一方サツキのお花は5月中頃から7月にかけて咲きますが、
これは旧暦で言うと初夏に当たり、サツキは夏の季語となります。

ですから今後ツツジやサツキを使って俳句を作るようなことがあったら、
それぞれが持つ季節感を間違わないように注意しましょう。

ツツジとサツキが似ているのはそもそも同じ植物だから?

ツツジとサツキがよく似ているのは、
植物の分類がどちらも「ツツジ科ツツジ属」だからなんです。

そのためサツキの正式な名称は「サツキツツジ」ですから、
サツキもツツジの1品種と見ることもできるわけです。

またツツジという個別の植物ももちろんあるんですが、
ツツジ科の植物を総称して「ツツジ」と呼ぶこともあるので、
そういう意味ではサツキもツツジで同じ植物と言えなくもありません。

ツツジにもサツキにも改良された品種があり、
品種によっては見た目や特徴などが全く似ていないこともあります。

しかし植物分類上は同じ仲間ですから、ツツジとサツキが似ているのは当たり前の話で、
私たちが見分けにくくても何もおかしくはないんですね。

ツツジとサツキは育て方もほとんど同じ

ツツジとサツキは同じツツジ科の植物で見た目が似ているだけでなく、
植物としての性質も似ているので育て方もほとんど同じとなっています。

ツツジ科の植物は元々日本に自生しているので、残念ながら私はどちらも育てたことは
無いんですが、育てるのはそんなに難しくないんだとか。

乾燥に弱い上に根が細いので土が乾くと十分な吸水ができずに枯れる恐れがあり、
水やりの管理には気を遣う必要があります。

しかし特に暑さ寒さに弱いといったことはありませんから、
夏越しや冬越しするのに特別なお手入れが必要といったことはありません。

日当たりと水はけの良い場所を好むんですが、
強い西日や夏の強烈な直射日光は少し苦手となっています。

なので、日当たりは良いけど、
夕方や夏のお昼間には少し日陰になるような場所に植えてあげると良いですよ。

どちらもそれほど生長が早くないので、
剪定は枯れ枝や込み入った枝を落として風通しを良くする程度で大丈夫です。

刈り込みには強いのでしっかり剪定しても問題無いものの、
剪定できる時期がお花が咲き終わった後の1か月ほどしかありません。

ツツジを育てたことがあるならサツキを育てるのは難しくありませんし、
反対にサツキを育てたことがあるんだったらツツジに挑戦しても上手くいくはずですよ。

ツツジとサツキは花言葉も似ている

ツツジとサツキは見た目や性質だけじゃなくて、花言葉も似ているんです。

ちなみに花言葉は、トルコで直接言葉で伝える代わりに意味を持たせたアイテムを
小箱に入れて送る習慣が起源とされています。

それがフランスに伝わって、求愛の際に送るお花に恋愛に関する言葉を充てるように
なり、それが現在では恋愛に関わらず色んな意味がある花言葉の形になりました。

ツツジの花言葉は
・節度
・慎み
で、これはツツジがあまり自己主張せずに周りの風景に溶け込む様子から来ています。

サツキの花言葉は
・節制
・制約
で、こちらは渓流沿いに咲くサツキが増水でも流されないように耐えている様子から
来ているんですね。

どちらも恋愛関係とはほど遠く、由来も違うんですが、
似たような意味になっていますよね。

花言葉からするとツツジやサツキは、同年代や年下にプレゼントするお花ではなく、
分別があって自分を律することができる年上の方へのプレゼントに
向いているんじゃないでしょうか。

ちなみにツツジには色別の花言葉もあり
・赤・・・恋の喜び
・白・・・初恋
と、こちらは一転して完全に恋愛系となっています。

苗木や盆栽の値段もほぼ同じ

ツツジとサツキは植物の分類が同じということもあるのか、
苗木や盆栽の価値もほとんど同じとなっています。

お庭などにツツジやサツキを植える際に、種から育てるのは大変ですから、
園芸店などで苗木を買うことになります。

サイズが直径12cmの4号ポットの苗木だと、
ツツジ・サツキともに600円前後で購入できます。

小品盆栽と言われるサイズの樹高11cmの盆栽は、
ツツジ・サツキともに4,000円前後の値段が付いているんです。

お手入れの仕方がほとんど同じなので、
育てるのにかかる手間も同じってことで値段も同じぐらいになるんでしょうね。

サツキ以外にもツツジに似ている花がある

ツツジ科のお花の中には、
サツキ以外にもツツジに見た目や性質がよく似ているものがいくつかあります。

代表的なところとしては
・アザレア
・シャクナゲ
ですね。

アザレアは、日本や東アジアのツツジと世界各国のツツジを交配させたできた
園芸品種ですから、ツツジとは見た目が本当にソックリです。

常緑低木で背丈が100cmぐらいまでにしか生長しないのはツツジよりも
サツキに似ていますが、開花時期が4~5月はツツジと同じとなっています。

シャクナゲはいくつかのお花が半球状に付くのでツツジやサツキとは見分けが
付きますが、1つ1つのお花を見るとツツジとよく似ています。

常緑低木で1か月ほどお花が持つのはサツキ似で、
大きいものだと背丈が3mぐらいまで成長するのはツツジ似ですね。

ツツジとアザレアの見分け方

色んな品種のツツジを交配させて誕生したのがアザレアだけあって、
ツツジとアザレアは本当によく似ているので見分けるのも難しいです。

ちなみにシャクナゲはお花こそツツジと似ていますが、
お花の付き方が特徴的なのでツツジと見分けるのはそんなに難しくありません。

ツツジとアザレアの見分け方のポイントは、ズバリ「葉の大きさ」です。

アザレアは園芸品種だけあってツツジよりも花弁が大き目で豪華なんですが、
八重咲きなど花弁の多い品種だとお花だけはちょっと見分けにくいんですね。

ツツジとアザレアの決定的な違いは葉の大きさにあって、
アザレアはツツジよりも葉が小さく楕円形となっています。

ツツジの葉は少し大きめで先が少し尖っているので、葉が小さくて丸いのがアザレア、
葉が大きくて先が少し尖っているのがツツジとなるわけです。

サツキとアザレアの見分け方

ツツジほどソックリではありませんが、
サツキとアザレアも結構似ているので見分け方を紹介しておきます。

サツキとアザレアを見分けるポイントは
・葉の質感
・開花時期
・雄しべの数
の3つです。

まず葉ですが、大きさこそ同じぐらいですがサツキの方が質感が硬く、
さらに葉の先端が少し尖っています。

アザレアの葉は楕円形で質感はそれほど硬くないので、
実際に葉を触ってみれば違いが分かると思いますよ。

続いての開花時期は、アザレアがツツジとほぼ同じ4月から5月にかけてなのに対して、
サツキは5月中頃から7月となっています。

なので早く咲いて早く咲き終わるのがアザレアで、
遅く咲いて長く咲き続けるのがサツキとなるわけです。

最後の雄しべの数は、サツキは基本的に5本なのに対してアザレアは5~10本なので、
雄しべが6本以上なら確実にアザレアだと分かるんですね。

ツツジの蜜は吸っちゃダメ!?

今の若い人は分からないですが、私と同じぐらいの年代の人なら子供の時にツツジの
お花を摘んで蜜を吸ったことが1度ぐらいはあると思います。

しっかりと甘いので、
初めて吸った時には子供ながらに衝撃を受けたことをよく覚えています。

しかしツツジの蜜を吸うのは私たち世代にとっては良い思い出ですが、
今の子供たちにツツジの蜜が吸えることを教えるのはあまりおすすめできません。

1つは、ツツジが植わっている環境によってはお花があまりキレイな状態に
保たれていない可能性があるからです。

特に街路樹として植えられているツツジは車の排気ガスなどで汚れていたりするので、
お花に口を付けるのは止めた方が良いですよ。

ツツジの種類によっては毒がある

ツツジの蜜を吸わない方が良いもう1つの理由が、
ツツジは種類によっては毒を持っているからなんです。

さすがに校庭や公園、歩道などには毒を持ったツツジを植えていないと思いますが、
自生しているツツジは毒を持っている可能性があります。

毒を持っている代表的な品種は
・レンゲツツジ
・ホツツジ
・イソツツジ
・アゼビ
などです。

ツツジは漢字だと「躑躅」と書きますが、
この漢字には中国語だと「ためらう」という意味があります。

ツツジに「躑躅」の漢字が充てられたのは、「羊がレンゲツツジを食べようとしたけど、
毒があるのでためらった」ことが由来とされています。

実際にレンゲツツジの毒は痙攣や呼吸困難を引き起こすほど強いですから、
確実に毒を持っていないと判断できない限りは、ツツジの蜜を吸うのは止めた方が
良いですよ。

まとめ

ツツジとサツキは同じツツジ科ツツジ属の植物ですから、
ある程度植物に関する知識を持っていても見分けるのが難しいです。

しかしお花や葉などに違う点は少なからずあり、
ポイントをしっかりと押さえてじっくりと観察すれば見分けることができるはずですよ。

ツツジとサツキ以外にも似ているお花はありますから、
どこが似ていてどこが違うのか興味を持って観察してみましょう。

観察してさらに興味が湧いたら、実際にその植物を育てることにも挑戦してくださいね。

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